【海外の教育事情を知ろう】ドイツの学校生活、こんなにも違っていた?!Vol.2~学校の様子、コロナ渦の学校など~

こんにちは!心の木を育てるオンライン家庭教師MEBUKI講師の田中です。

日本生まれ、日本育ちの私が、当時小学生6年生と中学生2年生の子どもたちを連れて単身ドイツに渡ったのは3年前。右も左もわからなかったドイツの学校生活についてようやく最近わかり始めてきたことをいくつか紹介したいと思います。

「学校」といっても、それぞれの国で仕組みは異なります。違いを知ることで日本に来た子どもたちが何に困っているのかを知ることができ、伝え方も変わってきます。子どもたちと関わる際にぜひご参考ください♪

【海外の教育事情を知ろう】

・ドイツの学校生活 こんなにも違っていた-Vol.1~留年制度、授業の様子は?~

中国と日本の小学校の違い① ~学期制、登下校の仕方、PTAは?~
・中国と日本の小学校の違い② ~科目、水泳、実験~

ドイツの小学校

ドイツの学校事情

宿題 ~30分以上かかる宿題は出してはいけない~

ドイツの学校の宿題もあやふやです。宿題は出たり出なかったりですし、出たとしても30分以上かかる宿題は出していけないことになっているそうです。宿題をきちんとしていっても、やってきたかどうかの確認をしないこともよくあるらしいのです。私の子どもたちにとっては宿題が唯一自信をもってできることなのですが、そこではあまり評価されないのがもどかしく感じています。

学校行事 ~運動会や音楽会はなし!~

日本ではたくさんの学校行事を通して、協調性や団結力を育みますが、ドイツの学校は「学問を学ぶ所」という考え方が定着しています。そのため教師は授業を行うこと以外は、ほとんど生徒に関与することはありません。もちろん放課後に音楽やスポーツなどのクラブ活動に週に一回参加できる学校もありますが、ほとんどの場合は、学校外のクラブに入ったり、自分で習い事を見つけることになります。

また日本のようなちゃんと準備してきた運動会や文化祭などのような行事はなく、スポーツをする日やオープンデー(学校開放日)のような行事しかありません。学年全体で行う修学旅行はないですが、卒業する年度にはクラス旅行というものがあり、遊び目的や観光目的で3~5泊かけて旅行をします。

給食の様子 ~パンや果物を校庭で~

ドイツの中等教育の学校には、“給食”というものは存在しません。昼食の時間になると、各自自宅から持ってきたパンや果物を校庭(休み時間は教室は使えません)で食べたり、あらかじめ食券をケータリング会社から購入し、校内にあるカフェテリアで日替わりに提供される食事を食べます。また学校によって年齢が異なりますが、中学2年生以上になると、親の許可書を学校に提出すれば、学校の外に行き、スーパー、ファーストフード店などで購入して食べることもできます。

掃除の様子

全ての授業が終わると5分間くらいの掃除の時間があります。しかし全ての生徒がするのではなく、日替わりで2-3人の生徒が順番に担当します。掃除といってもすることは、最後の授業で使用した教室の黒板を綺麗にすること、床に落ちているごみを掃除機、ほうきと塵取りで拾うと、机やいすを元に位置に戻すことだけです。

その他のトイレや廊下などは外部の掃除業者が掃除をしてくれます。生徒が掃除するよりも掃除業者が掃除する方が確かに安全で綺麗になるかもしれません。しかし自分で掃除することで、学校を汚さないようにしようという意識が生まれ、掃除の仕方を学習することもできるのではないかとも思います。

PTA活動はなし、活動はボランティアベースで

ドイツの学校には“PTA”という組織はありませんが、学校でのお手伝い(図書館での仕事など)やオープンデーなどでボランティアを募ることがあります。例えば、オープンデーや募金活動の時に食べ物を準備したり、販売したりします。これはあくまでもボランティア活動で、誰かが強制することはありませんが、率先してお手伝いをする人がでてきます。”不公平“という感覚はなく、できる人ができる範囲ですればいいという考えが定着しているように思います。

コロナ禍でのドイツの学校

私が住んでいる州では2021年5月28日まで、卒業年度に在籍する生徒以外は、オンライン授業を行っていました。2020年3月末に最初のロックダウンが始まったときは、学校も教師も生徒も準備をする時間がないまま学校が閉鎖。その時はオンラインで授業するということはほとんどなく、教師によって課題がメールで送られてきたり、まったく課題も連絡もない科目もありました。

夏休み直前に学校が再開してから12月中旬からの2回目のロックダウンが始まる前まで、州や学校でいろいろな準備がすすめられたようで、11月ごろにはデバイスの有無やインターネット環境、親のサポート可不可などのアンケートが実施され、オンライン授業に備え、学校でEラーニング用のプラットフォームの使い方などを練習しました。そのため、冬休みが始まる前のロックダウンでは、すべての科目ではありませんが、ほぼ毎日オンライン授業が実施され、課題の提示や提出がよりスムーズにできるようになりました。

2021年に入ってからも、学校再開日が何度も延期され、3月からようやく少しずつ学校に通えることになりました。

ドイツのコロナ渦の小学校事情

卒業年度のクラスは、2日に一回学校に行っています。例えば今週は月、水、金曜日に行くと、次の週は火、木曜日に行くという流れです。学校に行かない日は課題が出たり、オンライン授業があったりします。それ以外の学年は、クラスを半分に分け、隔週ごとに学校に行き、学校に行かない週はオンラインで授業を行っていました。

ですが、2021年4月初めの春休み(イースター休暇)後から3回目のロックダウンが始まり、また完全なオンライン授業のみに戻ってしまい、予定されていた休み明けのテストも全て延期、または中止になってしまいました。そして学校で授業を行っている生徒は、毎回学校に行くたびにコロナの簡易テストを受けなくてはなりません。このように、次から次へと新しいコロナ対策用の規則が決定されるため、ほぼ毎週学校から新しい情報が送られてきます。

異なった文化に触れながら柔軟性を養おう

スタサポ30の特徴:在日外国籍の子どもたちへの日本語学習支援が可能

日本とドイツの違いをいくつか紹介しましたが、日本とドイツとどちらが正しくてより良い考え方なのかではなく、自分にはどちらが合っているかという目線で考えていけると良いかもしれません。日本のように、規則を守ることの大切さや協調性を学ぶことを含め、子どもの教育全てを学校に求めるのか、ドイツのように学校は勉強する所でそれ以外の教育は親がするべきだと考えるのか。どちらも一長一短だと思いますが、異なった文化に柔軟に適応せざる得ない子どもたちが、精神的に強くなっているのは間違いありません。

MEBUKI講師 田中