【海外の教育事情を知ろう】台湾の小学校~1年生から中間・期末テストを実施~

こんにちは!
心の木を育てるオンライン家庭教師MEBUKIの講師、田中です。

結婚とともに台湾に渡った私は、初めての出産、初めての子育てを台湾ですることになりました。中国語が全くわからないままでの出産は、不安と驚きの連続でしたが、初めての子どもが台湾の幼稚園に通うようなってからも、日本との違いに日々直面してきました。

ここでは私が経験してきた台湾と日本の教育観や学校生活の違いについて、紹介していきます。

「学校」といっても、それぞれの国で仕組みは異なります。違いを知ることで日本に来た子どもたちが何に困っているのかを知ることができ、伝え方も変わってきます。子どもたちと関わる際にぜひご参考ください♪

【海外の教育事情を知ろう】

中国と日本の小学校の違い① ~学期制、登下校の仕方、PTAは?~
中国と日本の小学校の違い② ~科目、水泳、実験~

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台湾の教育制度

台湾の教育制度は日本統治時代から、小学校・中学校・高校・大学の6・3・3・4制となっており、そのうち、小学校・中学校・高校の12年間を義務教育としています。日本のように満6歳になると小学校に上がりますが、台湾の新学期は8月末または9月(年によって違う)から始まるので、8月生まれと9月生まれで学年が変わります。ちょうど日本の3月生まれと4月生まれのような感じですね!

そのため、11月生まれの私の息子は日本より半年遅く入学しましたが、8月生まれの娘は日本より半年以上早く1年生になりました。

通学する小学校や中学校は、たいてい住所に基づいて決定されますが、いくつかの学校は学区外でも受け付けています。日本のように公立と私立の学校があり、公立の学校の中でも人気のある学校というものが存在するため、子どもが就学する前に行かせたい学校の近くに引っ越したり、知り合いや親せきにお願いして、子どもの住民票を変更させたりする親も少なからずいます。

学校生活~1年生から中間・期末テスト!~

授業~「郷土言語」から自分のルーツを学ぶ~

台湾の学校で使用する通学カバンや文房具は学校指定のものはなく、個人が自由に選ぶことができます。小学校の通学カバンにはリュックサックやキャスター付きのカバンをよく目にしますが、たまに日本式のランドセルで登校する生徒もいます。各クラスに約30人の生徒が在籍し、担任が音楽や英語などの特別な科目以外ほとんどの教科を教えます。

特に台湾では英語に力を入れており、早い場合は1年生から、遅くても3年生ぐらいから英語の授業が始まります。また、学校で勉強する「台湾国語」とは、いわゆる日本で認知されている「中国語・北京語」と言われる言葉(但し、台湾と大陸では使用漢字は異なります。台湾では「繁体字」、中国大陸では「簡体字」を使用)で、日常会話で台湾人が話す「台湾語」ではありません。

そのため消滅危惧言語になりつつある現状を打破しようと、現在「郷土言語」の授業が小学校で設けられています。生徒はこの「郷土言語」の時間に、「台湾語・客家語・原住民の言葉など」から1つ選択し、自分のルーツの言語を学んでいきます。

小学校1、2年生の授業時間は日本より短く、週に1、2回を除いて、昼食前に下校となりますが、放課後はたいてい後述する安親班と言われる塾や習いごとに時間を費やします。1年生から宿題はたくさん出され、特に漢字練習に何時間もかかることが普通です。

そして、小学校1年生から中間テスト、期末テストがしっかりあり、毎週必ず単語テストなどの小テストがあります。成績評価は、授業態度よりもテストの点数が重要視され、時にはテストの順位まで発表されることもあります。

給食~お弁当屋さんで買ったり、配達を頼んだり~

台湾では給食かお弁当か選ぶことができます。お弁当といっても、近くのお弁当屋さんで買って持ってきたり、配達を頼んだりすることもありますし、もちろん家族が作ることもあります。必ずしも手作りではなくてもいいので、親としては気が楽です。また、台湾人は温かい食べ物を好むので、昼食時間直前に学校に届ける光景をよく見かけます。学校に電子レンジがあり、昼食時間になると持参したお弁当を温める生徒も少なくありません。

飲み物は、牛乳や味のついた牛乳や羊乳などいくつか種類があり、注文するかしないかを選択できます。給食は日本のように給食当番が盛り付けるのではなく、各教室に運ばれた食べ物(主食・おかず2品・果物などのデザート類)を自分で好きなだけ取る形式になっています。

昼休み~低学年はお昼寝時間~

給食後に簡単な掃除があり、その後に昼休みとなります。昼休みは、低学年にとっては自由時間というよりもお昼寝時間となっています。生徒はどんなに眠くなくても、自分の机の上に顔を伏せ静かにしていなくてはいけません。静かにしていれば、例えば本を読むことが許可される場合もあります。

学校行事 ~運動会で模擬店!~

台湾では運動会が年に1度、12月の平日に開かれます。12月になると大分涼しくなるので、運動するのにはいい季節だからです。運動会とは言え、それまでに特別な練習をすることはなく、自分がどの種目にでるかを決めることぐらいです。種目はたいてい徒競走や中距離走などで、メインは運動会中、または運動会後にある園遊会であることが多いです。学校に内外部からの模擬店が並んだりするので、生徒はスナックを買い、友達と食べたりすることができます。

平日に開催されるので、昼食も親と一緒に食べるというようなことはなく、ちょっとしたお祭りのような感覚です。これは日本の完璧に準備された運動会を経験してきた私にとってはカルチャーショックでした。

PTAは日本の組織と類似

台湾でのPTAは「家長會」と呼ばれ、日本のように会長、副会長、会計などから構成されています。まず各クラスから1人ずつ代表の保護者が選出され、その保護者および学校に寄付をした保護者に投票権が与えられ、PTAの役職に立候補した保護者の中から役員を選挙で選出します。

PTAの会長に立候補する保護者は意外と多く、学校に関わりたい教育に熱心な親が台湾ではたくさん見られます。PTA以外にも図書室でのお手伝いや、学校周辺の交通整理などはボランティアの保護者で行われています。積極的に学校に関わりたいと思う保護者が多い台湾では、PTAも学校でのお手伝いも自由意志という考えが定着しているようです。

放課後の定番!安親班

台湾の家族は共働きが多く、台湾の現在の大統領が女性であることからもわかるように、女性の社会進出にとても寛容です。女性が外で働くということは必然的に子どもの教育は学校や“安親班(日本での塾のような所)”に依存するという仕組みになります。

台湾の小学校低学年は前述したようにほぼ毎日昼食前に下校になります。下校時間になると、次から次へと大型や小型のバスが学校前に停留し、若い安親班の先生が親の代わりに教室から子どもたちを集め、列を作ってバスまで連れていきます。

そのままそれぞれの安親班まで送り、そこで昼食を食べさせ、お昼寝までさせてくれます。昼食後は学校の宿題を見て、おやつまで出してくれます。そこまででだいたい夕方4時ごろになります。その後に音楽、スポーツ、英語を習わせたい場合は、別料金でそのまま引き続きそこで行われ、最終的には夜8時(夕食込み)まで見てもらうこともできます。

働く親は会社から安親班に子どもを迎えに行き、家に着くと、お風呂に入らせ寝かせれば1日が終わるというスケジュールとなります。

台湾の学校は、日本に比べるとかなり自由で、親の負担が少ないと感じます。しかし教育熱心な親が多く、また社会全体でスポーツよりも勉強重視なところがあるため、子どもたちが抱える勉強のプレッシャーは大変なものでしょう。

そのため台湾と日本の両方の学校を経験した子どもたちからよく聞くのは、「日本の学校の勉強は簡単で、友達と遊べる時間が多くて楽しい」という言葉です。その一方で、「日本の学校は規則が多くて窮屈だ」という声も耳にします。教育制度は同じでもその内容はかなり異なります。

<学校の先生など、子どもたちに関わる方へ>

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MEBUKI講師 田中